








平日の昼前だというのに都内のラブホテルは何処も満室で、歓楽街の外れにある古びたラブホテルだけが空いていた。
その一室で彼女は私の上に跨って腰をくねらせる。
何度も、何度も。
次第に狭い室内には男女の饐えた香りと、いやらしく粘膜の擦れる音が充満していく。
柔らかな乳房を揺らし、白い首筋には薄っすらと汗。
ただでさえ官能的なこの状況をより一層引き立たせているのは、彼女の職業の所為だろう。
普段の彼女なら今頃は●供たちに囲まれて、お歌の練習をしている時間なのだから──「幼稚園で働いています。
●どもが好きで」待ち合わせたカフェで何気なく問いかけると、彼女はそう言って微笑んだ。
その返事に、妙に納得してしまったのは保育士のエプロンを身に着けて●どもたちと輪になって歌っている姿が、あまりにも自然に頭に浮かんだからだろう。
●供たちと一緒に絵を描き、歌を唄い、笑い合う日々。
理想的で穏やかな日常。
だが、静けさとは、いつも内に熱を孕んでいるものだ。
彼氏と別れて一年あまり。
募っていたのは寂しさではなく、もっと切実で、本能的な何か。
彼女は仕事を休み、この一日を選んだ。
ソファには、彼女が「いつも履いている」と言ったレースの下着がくしゃりと落ちている。
そこに込められた欲望は、あまりにも率直だった。
何度も求め合い、やがてふたりとも息を切らせて、シーツに沈んだ。
しばらく抱き寄せると、彼女は私の腕のなかで静かに寝息を立てていた。
午後二時半。
時計を見て、私はふと思う。
??そうか。
本当なら今ごろ、お昼寝の時間か。